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歩く力は自然に失われていく 仲條拓躬

2025/05/19 (Mon) 17:21:41


あなたは椅子に座って正面を向き、頭の位置を前後に動かさずに立ち上がろうとしてみてほしい。きっと、全く立ち上がれないことでしょう。どれだけ足に力を入れようと、腰は少しも浮き上がらないはずです。

では次に、何も考えずに立ち上がってみてほしい。おそらく、最初に頭を思い切り前に突き出して、その後ようやく腰を浮かせるはずです。椅子から立ち上がるためには、まず「前屈する」という動作が必要なのです。

その理由は単純で、重い臀部を持ち上げるためには、頭の重さでバランスを取る必要があるからです。頭を前に突き出し、重心を前方に移動させることで、重い臀部を持ち上げるのです。まさに、「重い腰を上げる」ためには頭を使う必要があるのです。

では、もう一つ実験をしてみましょう。今度は立った状態で足を肩幅に広げ、頭を左右に動かさずに右足を上げてみてほしい。おそらく、どれだけ足に力を入れても右足は地面から浮き上がらないはずです。では、どうすれば右足を上げることができるだろうか?

やってみればすぐにわかります。右足を上げる前に、上半身を左側に傾ける必要があるのです。先ほどと同様に、重い足を上げるには、まず重心を反対側に移動することから始めなければならないのです。

私たちの体を構成する「部品」は、それぞれがかなりの重量を持っています。体重が50キログラムの人であれば、頭は5キログラムほどもあります。足は一本あたり約10キログラム、腕も一本5キログラムほどあり、意外なほどにずっしり重いのです。

私たちは日頃、自分の「部品」の重さを自覚することがほとんどないでしょう。これほど重いものを毎日「持ち運んでいる」にもかかわらず、意外にもそのことに気づかないのです。頭や手足は、肩や背中、臀部の大きな筋肉で支えているため、重さを感じにくい。

これは、子どもを抱っこするより肩車をするほうが楽に感じたり、重い靴を手で持つよりリュックサックを肩に背負うほうが軽く感じたりするのと同じ理屈です。また、生まれてから今に至るまで、必要な筋肉が必要なだけ鍛えられています。体は、自らの「部品」を持ち運ぶのにもっとも好都合に発達するからです。

一方、私が初めて介護の研修を受けたときに驚いたのは、まさに「人体がいかに重いか」という事実です。介護現場では、歩けない人をベッドから車椅子に移動するのを介助したり、意識のない人をベッドからベッドに移動したりすることは、日常的な仕事だからです。

このように体を移動させる作業は、それなりの重労働です。決して一人ではできず、四、五人のスタッフが一緒に力を合わせて行う。自分の体は一人で運べるのに、他人の体は一人では到底運べないのです。

特に意識がない方を移動させるときは、手と足に注意が必要です。手足はずっしり重いにもかかわらず、胴体とは小さな面積でしか繋がっていない。四本それぞれを誰かがしっかり支えていないと、重みのままに勢いよく垂れ下がり、あっという間に関節を損傷してしまうからです。お互いが声を掛け合い、息を合わせて慎重に動かすのです。

体の重さが問題になるのは、介護のときだけではない。入院が長引き、ベッド上の生活が長くなった人が、久しぶりに起き上がろうとすると全く立てなくなっている、ということは自ら経験しました。特に、もともと筋肉が弱った高齢者に起こりやすい現象でしょう。

胸やお腹の病気で手術を受けたり、心筋梗塞や肺炎にかかったりなど、足腰とは全く関連のない病気にかかったとしても、歩く力は自然に失われていくのです。体を毎日「持ち運ぶ」作業を怠れば、見る見るうちに筋肉は弱ってしまうからです。

程度の差こそあれ、無重力の空間から地球に帰還した宇宙飛行士が、支えなしには歩けなくなっているのと状況は似ています。宇宙飛行士の油井亀美也氏が、帰還直後の生活について、「私はスーツを脱ごうとして、頭を前に傾けた時に、首と背筋で頭の重さを支えるのを忘れ、前のめりに頭を地面に叩きつけそうになりました」と語っていたのが印象的です。

したがって、宇宙空間で宇宙飛行士が筋力トレーニングを怠らないのと同じように、入院中はリハビリが重要になるのです。可能な限り意識的に歩いたり、手足を動かしたりする必要があるのです。病院では、多くの人が毎日病棟の廊下をゆっくり歩いています。生活力を維持するために、必須の運動なのです。

眼球の偉大さについて 仲條拓躬

2025/05/19 (Mon) 17:20:33


明るいところから急に暗いところに入ると、最初は何も見えないのに、徐々にものが見えるようになってきます。このことは、誰もが経験的に知っていることでしょう。この現象を「暗順応」と呼びます。主に働く細胞が、錐体細胞から桿体細胞にゆっくりと切り替わるのです。逆の経験もあるでしょう。

暗いところから急に明るいところに出ると、最初はまぶしくてものが見えにくいのですが、徐々に普段の見やすさを取り戻してきます。これは、「明順応」と呼ばれる現象です。暗順応と逆の作用が起こっているのです。

明順応と暗順応は、完了するまでにかかる時間が大きく異なります。明順応は約五分とすみやかに起こりますが、暗順応は三十分ほどかかるのです。実は、この興味深い現象の本を読んで学んで以来、私はこれを日常生活に生かしています。

夜中に尿意を催し、暗い寝室からトイレに向かう、といった経験は誰しもあることでしょう。このときに、廊下の電気をつけて両目を光にさらすと、あっという間に明順応が完了してしまいます。再び暗い寝室に戻ると、部屋の中が見えにくくなってしまうのです。

そこで、片目をつむった状態で電気をつけ、一方の目は暗順応を維持したまま、もう一方の目を明順応させます。すると、暗い部屋に戻って両目を開けたとき、片方の暗順応が生きているため部屋の中をスムーズに移動できるのです。

もちろん、片目をつむって歩くと距離感がわかりづらいので注意は必要ですが、意外に便利な方法です。足元がよく見えなかったために、机や家具に小指をぶつけて痛い思いをすることもないのです。

むろん、もう一度寝室の電気をつければいいではないか、といわれれば反論のしようもないのですが、臓器の持つ特性を知り、それを大いに利用し、その成果を自ら体感することは、この上なく心地よいものです。

ちなみに、アニメや映画で出てくる海賊は、決まって片目に眼帯をしています。その理由については諸説あるようですが、一説によると暗順応を維持するのが目的なのだそうです。明るい甲板から暗い船倉に入った際、眼帯をずらすだけで中の様子がわかるというのです。

明るい場所で作業している最中に突然船倉で戦闘が始まっても、暗順応が生きている片眼を使えば困ることはないでしょう。確かにこれが真実なら、目の特性を生かした便利なテクニックだといえることでしょう。

ここでまた1つの実験をしてみます。本を両手で左右に細かく揺らした状態で文字を読もうとしてみてほしい。文字が左右にぶれて、とても読み進めることはできないでしょう。では逆に、頭のほうを左右に細かく揺らすとどうだろうか?

先ほどと同じ幅で、かつ同じ速度で左右に振りながら、文字を読もうとしてみてほしい。本を揺らすのと比べると、はるかに読みやすいのではないだろうか? 頭を左右に振っても、意外に視野はぶれないのです。

これには、私たち動物が持つ「前庭動眼反射」という機能がかかわっています。耳の奥にある前庭や半規管という器官が頭の動きを感知し、瞬時に逆方向に(打ち消す方向に)眼球を回転させ、視線のブレを防いでいるのです。

試しに鏡で自分の顔を見つめながら、頭を左右に振ってみよう。目を動かそうと思わなくても、顔の向きとは反対方向に眼球は自然に動くはずです。道を歩いているときも、あるいは走っている最中ですら、私たちの視野は安定しているのです。

頭がどれだけ揺れていても、周囲の景色をくっきり認識できます。走りながら道路標識の文字を読むことすらできるはずです。顔の動きに合わせて、自動的に眼球が動いてくれるからです。この機能は、あらゆる動物が生きる上で大切です。

逃げるシマウマを追いかけるライオンが、シマウマを視野の中央にしっかり捉えたまま高速で走れることを考えれば、その重要性がよくわかるはずです。こうした反射は、意図とは関係なく常に行われているため、私たちはそのありがたみに気づきにくいのです。

だが、例えば走りながらカメラで周囲の景色を撮影すると、どんな映像が撮れるかを想像してみてほしい。上下左右に激しくぶれて、とても見るに耐えない映像になるはずです。もし私たちに前庭動眼反射がなかったら、こういう景色の中で生きることになるのです。

ちなみに、近年のホームビデオには、「光学式手ぶれ補正」と呼ばれる高度な機能が搭載されているものがあります。カメラの動きに合わせてレンズが逆方向に動き、映像のぶれを軽減するのです。しくみとしては前庭動眼反射と同じです。昔に比べると、ホームビデオの進歩は本当に凄まじいのですが、もっと「凄まじい」のは私たちの眼球なのです。

目が怖いパート2 仲條拓躬

2025/05/15 (Thu) 16:57:04


相互関係を持たない場合でも、人の視線は怖いです。電車に乗り心の準備もなくシートに座ったとたん、正面にズラリと並んでこっちを見ている人に気がついて慌ててしまいます。正面の人と視線が合わないように視線を据えつけるのが疲れる。

その人の目を見ないようにしようと思えば思うほど、その人の目を見たくなり、つい見てしまう。すると、その人の目と目が合ってしまう。しまったと思って急いで視線をはずし、暫くあちこちを眺めて、もう大丈夫だろうと思ってその人を見ると、その人とまた目が合ってしまうのです。

避けようと思えば思うほど吸い寄せられていく、あの「吸引力」は一体なんなのだろう。私はJRを利用することが多いので、正面の人との一定の距離の感覚ができています。だが私鉄はJRよりハコが小さいので、相手との距離が近いので、相手がズラリと並んでこっちを見ていると驚いてしまいます。もっと恐ろしいのはバスです。

自分の家の居間になに気なく入ったら、目の前に知らない人がズラリと並んで座っている、というような錯覚を覚えてしまいます。納得して自分を落ち着かせるのに、かなりの時間がかかるのです。日本人は視線に弱いと言われています。

習慣の基本に、人をジロジロ見るのは失礼だ、というのがあるからでしょう。視線が合ってしまったら、さり気なくはずす、というのが日本の作法です。いつまでも視線をはずさないのは、敵意の表明になります。

喧嘩に発展することもやむをえず、の意思表示ともなり、猿の世界もそういうことです。「猿の目をみつめないでください」という札がたっていますよね。日本人はこのように、猿の視線を避けながら、近隣の人の視線を避けながら、他人ともあまり目を合わせないようにする習慣の中で生きてきました。ところが西洋人はそうではありません。

お互いを強く見つめあう、というのがエチケットの基本です。日本のお辞儀の動作は、お互いの視線をはずす、というところにその眼目があると言います。反対に、西洋人の握手は、相手の目を見つめ合う、というところにその意図があるというのです。そして西洋人が喧嘩をする時は一旦視線を相手の目から外してから殴りかかります(笑)

西洋人の目から見ると、「日本人は視線を避けてばかりいる」ように見えると言います。外国人は、小さいときから、「目を見ろ」と言われて育っているので視線に強いです。大相撲の曙は立ち合いにいつまでも相手を睨み付けています。

日本人力士は目線を外してしまいます。にらめっこというのは、日本独特のものなのかもしれません。相手の目を見続けていられるはずがない、という前提の上に成りたっているゲームといえます。

西洋人は、小さい時から視線を鍛えながら育ってきて、すっかり視線に強くなりました。ということは、日本人といえども訓練によって鍛えられる可能性があるでしょう。今からでも、間に合うかも知れません。犬で練習すると犬は人間の視線に忠実に応えてくれます。

その点、猫はまるでダメです。犬は誠実でじっと目を見ると、「何ごと?」と、見返してきます。かなりの時間、犬は見つめてくれます。首をかしげ、問いかけるように、理解できない自分を悲しむように、誠実に見あげます。

日本人の全員が視線に弱いというわけでもありません。非常に強い人もいます。営業マンなどに多いです。上役と一緒に売りこみにきた、というような人に多いです。大事な用件は、上役のほうがベラベラ話し、部下はほとんど話さず、視線のほうに徹します。

上役の横に、前かがみに座って視線がくるのをひたすら待っているのです。視線が合うと、上下に激しく首をふって激しくうなずき、いつまでもうなずいている。うなずきおえると、またひたすらこちらに目を据える。鍛えてあるなぁ~と羨ましくなります。

目が怖いパート1 仲條拓躬

2025/05/15 (Thu) 16:55:00


他人の視線が怖いと思ったことはありませんか。視線というよりは目かな。目というよりは目玉かな。人に話をする時は、相手の目を見て話せと言います。人の話を聞くときは、相手の目を見て聞けと言います。目と目が合うと、真実味が生まれ誠意も感じられます。

一生懸命話をしているのに、そっぽを向いていられたら誰でも不愉快になりますよね。常に目を伏せて、決して相手と視線を合わせない人がいますが、こういう人は人から信用されないでしょう。時々、目を合わせてくれると、話を聞いてくれているのだな、と思います。大きく頷いてくれたりすると、こいつは話のわかる奴だ、と思います。

なかなかいい奴じゃないか、とさえ思います。目を合わせるということには、こういう効能があるのですね。だから、私は人の話を聞く時は、なるべく相手の目を見るように努力しています。相手が話をしている間合いを見計らっては、相手の目を見ます。

ところが、目と目が合った瞬間に、あれは一体なんなのだろうと身ぶるいのようなものが起こる事があります。見てはいけないものを見てしまったような、戦慄のようなものが背中を走って、慌てて視線をそらしてしまう。

1秒と、相手と視線を合わせていることが出来ない。視線を合わせることは、真実味を増し誠意を表すとても良い事であるのに、いけない事をしたような気がしてしまう。一体なんなのであろうか。怖いというのとも少し違うような気もするのだが。

それに、恥ずかしい、というのが少し加わっているようです。それに、いたたまれない、というのも含まれているような気もします。しかし相手の目を見ないと、いかがわしい奴という烙印を押されてしまいますので、必死の思いで相手の目を見ます。

人の目玉など気にしないで暮らしていけたらどんなにか気楽なことでしょうか。私は人の話を聞く時は、約20秒に1回、視線を合わせるようにしています。相手が話を始めて、15秒くらい経つと、そろそろだなと思う。

少しずつ顔を相手の方に向けるようにして、20秒で相手の顔を見ます。相手もこっちの目を見て視線が合う。合った瞬間、ヤレヤレと思う。また20秒経つと、「目合わせの儀」をとり行わなければならない(笑)人間の目玉が見て楽しいものででもあればいいのだが、ただ不気味なだけです。

人体解剖図などで誰でも知っている事ですが、人間の目玉は巨大です。表から見えるのは、ほんの一部分にすぎない。目玉というものは、まぶたというスキマから、ほんの一部分だけを除かせて、世間を見ているのです。その実態も不気味ですが、その根性もまた不気味なものです。その不気味さが、思わず背中に戦慄を走らせるのかもしれませんね。

テレビのアナウンサーや司会者は、カメラのレンズを見つめながら話をします。NHKの松平さんは、体をのりだすようにして、大きな目でこっちを見ているから余計恥ずかしいです。写真を撮られるときはレンズが怖いのです。

カメラマンは「レンズを見てください」と言います。レンズはただの丸いガラスなのですが、3秒と見つめていられないのです。レンズの後ろのカメラマンの目が怖い。3秒経つと、頬の筋肉がピクピク痙攣してきます。この場合、撮られるほうが圧倒的に不利である。

こっちはナマの目玉をさらしているのに、カメラマンはレンズのうしろに隠れて、こっちのすべてを盗み見ているのです。ずるいし不愉快です。不機嫌で、頬はピクピクしているのに、「ニッコリ笑ってください」などというとんでもない話なのです。

共産主義思想が広がる背景 仲條拓躬

2025/05/15 (Thu) 16:49:50


なぜ日本にとって満州が重大かというと、昭和の初期に世界恐慌があり日本もそのあおりを食らい、大変な不景気がやってきました。そのとき、日本人の対応は3つあったと考えられています。1つは、共産主義、コミュニズムでした。第一次世界大戦の終わり頃にロシアに革命が起き、初めての共産主義国ができました。

このマルキシズムによる新国家は、人類が初めて到達した理想社会の建設かもしれないという夢を多くの人が抱きました。それは当然、日本のインテリたちにも影響力を持っていくわけで、どんどん共産主義思想というものが日本へ入ってくる状況が、大正の末期から昭和の初期にかけて出てきます。

そういう意味で共産主義が、不況にさらされている日本の1つの解決、あるいは逃げ道になるかもしれないというスローガンがありました。もう1つは、軍部と右翼が結びついての国家改造及び対外進出という方向がありました。

さらにもう1つは、現在の日本人に一番多い右と左の政治的な方向に行く冒険主義を嫌った人たちは、この不景気の中で、刹那的に無目的に、デカダンスの中にどんどん身をあずけていくという方向があったのです。当時の日本にはこうした3つの方向へ向かう選択肢があったと思います。これはある評論家の意見ですが、納得できる分析だと思います。

そして、そこからまた国内の右翼とともに、新しい軍人たちによって、日本国家の改造問題を考えるグループが登場します。例えば後に二・二六事件の陰のイデオローグだということになっている北一輝に『日本改造法案大網』という本があります。

これは今の日本の国家形態ではだめだから、日本を改造しようということです。この改造プランというものは、まず憲法を一定期間停止して戒厳令を敷き、この間に貴族院を撤廃し、一定以上の土地の所有を禁止して、一定以上の財産の所有を禁止しようというふうな改造法案を作成していくのです。これが一部青年将校にバイブル視されます。

これは北一輝だけでなく、大川周明という人にも同様な動きが起きてくるのです。それが、理論化しない農民運動と結びついた右翼からもいろいろな改革運動というものが出てくるわけなのです。北一輝は処刑されましたが、そのときに銃殺されるのは、右翼の思想をまき散かしたからではないのです。

おまえの思想は右翼の衣をかりた共産主義だという理由で処刑されるわけです。これは当局の言いがかりかもしれないが、確かに、マルクスから始まる共産主義、社会主義の方法論というものの対抗的輸入というものがあったと思います。

それは目覚めた優秀な軍人たちの中にもあるわけであって、非常に強力な敵であるマルキシズムに理論的にも対抗できる改革策を立てなければやっていけないという考え方の基本でした。二・二六事件のすぐ前に、永田鉄山という軍務局長が、相沢三郎という中佐に斬殺されるという事件が起きました。

陸軍きっての秀才とも言われた永田鉄山が考えたことは、コミュニズムというものを視野に入れて、はっきりとした理論を打ち立て政策をつくらなければいけない。そのためには、経済運動に対する統制という大変近代的な考え方です。

そしてその限りでは、永田鉄山と石原莞爾は同じように考えています。もちろん右翼的なテロをやって国家改造ができるとは石原莞爾は全く思っておりません。二・二六事件が起きたときに、石原莞爾は参謀本部の課長で、現場にすぐ駆けつけます。

そして、青年将校の中でも一番血気盛んだった栗原という中尉が突然やってきて、「石原さん、我々と一緒にやってくれ」というようなことを言います。そのとき、石原莞爾は平然として、「ばかなことはよせ。おれは軍旗を持ってきておまえらを撃つぞ」とはっきり明言しています。

石原莞爾は。三月事件、五・一五事件、二・二六事件というクーデター的テロで日本が改造できるということは全く考えていません。石原莞爾は別なことを考えていました。それが満州合衆国という大スケールな構想だったのです。結局、日本国は共産党の腐食は許さず、中国は日本が戦争に負けて共産主義が息を吹き返し民が苦しむ結果が現在も続いているのです。

野球世界一を決める残念な出来事 仲條拓躬

2025/05/15 (Thu) 16:46:10


野球世界一を決めるワールド・ベースボール・クラシック(WBC)のアジア枠で勝ち残り韓国と日本が2次リーグに進みました。2次リーグでの日本の最初の対戦相手はアメリカです。そのアメリカとの一戦で勝敗を左右する出来事が起きました。

王監督は冷静にはっきりとした口調で言いました。「野球のスタートした国であるアメリカで、こういうことがあってはいけないと、私は思う」 8回、1アウト満塁で日本は勝ち越しのチャンスを迎えました。打者岩村の当たりは浅いレフトフライ。タッチアップで三塁走者の西岡がホームベースを向かってスタートを切る。

ボールが外野から返球されるよりかなり早く、本塁へ滑り込んで勝ち越しです。だが、一度勝ち越したはずのジャッジが覆ったのです。タッチアップが早いというアメリカ球審のアピールで却下されました。

日本が待望の勝ち越し点をあげたと、多くのアメリカ人も思っていました。ところが、米国のマルティネス監督から抗議を受けたデビッドソン球審が判定を覆してしまうのです。「審判は4人が同等でなければいけない。一番近くにいる審判のコールを変えるなんてことは、私が長くやってきた日本の野球では、聞いたことがない」 と王監督が抗議しました。

しかし、アメリカ審判には受け入れられませんでした。日本ナインは守備につかない。「監督が抗議しているのに守備にはつけない。全員が納得いかないコールだった」。先頭打者ホームランを打ったイチローが言った。

いずれにしても、日本の決勝点が消えて、何度も日本のピッチャーにも投げ方を注意するなどフェアな戦いが出来ないまま日本は残念な敗戦となりました。この出来事で世界のマスコミは怒っています。日本と米国の試合にアメリカの審判がいる自体がおかしいです。

WBCの運営にまで憤りを感じます。これでは世界で野球の人気がないのがわかります。アメリカはこのようにルールも変えてしまうような国なのです。今の政治にも同じことが言えるような気がします。

夕食の血糖値には要注意 仲條拓躬

2025/05/14 (Wed) 15:21:14


夕食時に血糖値が高くなるのは、夕食の量が他の時間の食事よりどうしても多めになりがちなことで理解できます。では、まったく同じ食事を朝、昼、夕食で食べた場合はどうでしょうか。実際、ヒトで実験してみると、朝食・昼食・夕食のようになり、まったく同一の食事でも朝より夕の食事後の方の血糖値が高くなります。

これはまさに体内時計の影響なのです。時間栄養的には、時間によって血糖値を下げる働きのあるインスリンの効き方が異なってくるという結果だといいます。朝の食事時にはインスリンの分泌が良く、またインスリンの働きも強いので、あっという間に血液中から糖が組織中に移行します。

考えてみると、朝食は10~12時間程度絶食した後に食べますが、昼食や夕食は5~6時間程度の絶食後に食べています。その絶食時間が血糖値の変化にかかわっている可能性も考えられています。そこで、夕食から10時間空けて食べたときと、朝食から昼食を摂らずに10時間後に夕食を食べた場合の血糖値を比較した実験があります。

その結果、絶食時間は同じ10時間にもかかわらず、前者の場合の朝食時より後者の場合の夕食時の方の血糖値が高いという結果が出たのです。仮説的には、絶食時間が同じだから差がないだろう、あるいは、夕食まで食べていないので体がブドウ糖を求める力が強く、食事をしたら速やかに組織に移行し、血糖値は上がりにくいと思っていたのです。

ところが予想とは違う結果となり、その原因を考察しています。それは体内時計が朝と夕のエネルギー代謝をきちんとコントロールしていることに起因していると考えられました。また、別のヒトの研究で、夕食の食事時間を2~3時間遅らせると、血糖値の増大が大きくなることも知られています。遅い夕食は高血糖の危険性を考えると避けたい食行動です。

高カテキン茶 (高濃度でカテキンが含まれるお茶)が高血糖予防に効果があると考えられ、肥満や糖尿病の予防としてもカテキン茶が推奨されています。そこで、朝食時と夕食時のいずれが効果的なのかを調べてみました。

先にも述べたように、同じものを食べても朝や昼より夕食時に摂る方の血糖値が上がりやすいことが知られています。また、飲食をすると血糖値は上がりますが、その上がり方の緩急などにより、身体に及ぼす影響に違いが出ることも知られてきています。

そのなかでも、短時間に急激に血糖値が上がり、また正常値に戻ることを血糖値スパイクといい、これが頻繁に起こると血管系に影響し、動脈硬化など健康を害する原因になりえるといいます。

そういったことから、夕食時の血糖値スパイクを抑えるためには、高カテキン茶は夕食時に摂る方が良いと予想されます。次に、カテキンを継続的に1週間飲んだときに、血糖を抑制する作用が増強したり逆に減弱したりする可能性を調べた実験があります。その結果、カテキンによる夕食時の血糖抑制効果は持続的で、強弱の変化はありませんでした。

さらに、似た現象がマウスで起こるか否かを調べた実験もあります。夕食時にカテキンを1週間投与し、その後、ブドウ糖を朝もしくは夕に投与しています。その結果、夕食時にブドウ糖を与えた群で、カテキンを夕方に飲んでいたマウスは、カテキンを飲んでいないマウスに比べて、血糖値の上昇が抑えられています。

一方、朝食時にブドウ糖を与えると、夕方にカテキンを投与した群、カテキンを含まない液体を与えた対照群のいずれも、それぞれ夕食時にブドウ糖を与えた結果と似た値を示しています。すなわち、夕食時にカテキンを飲む習慣自体が、食による高血糖を抑制しうるという発見となりました。

恐らく、朝は血糖値が上がりにくいので、前の晩の夕食時にお茶を飲んでも飲まなくてもあまり関係がなく、夕食時の血糖が上がりやすいときにカテキンを摂ることは効果的な影響を与えるというように解釈しています。ヒトと類似した結果が得られ、やはり夕食時の方が効果的であったというわけです。

筋肉には午前、骨には夕方 仲條拓躬

2025/05/14 (Wed) 15:18:03

筋肉には午前、骨には夕方
牛乳や乳製品も摂取する機会が多いと思いますが、時間栄養学的な視点での研究成果はあるのかなと調べてみると残念ながら直接的な証拠が得られている段階ではないようですが、時間栄養学的な視点で考察されているものはありました。

乳製品や卵を朝に摂取する場合、タンパク質を効率よく供給するという点で、良い効果をもたらしています。一般的に、朝はタンパク質の摂取量が夕食に比較すると半分程度であることが報告されています。したがって、朝は慢性的にタンパク質不足が懸念されます。

朝ごはんで意識的に摂るか、午前中の間食時などにタンパク質やアミノ酸を補給するようにしたいところです。特に高齢者では、サルコペニア(加齢などにより筋肉量が減少して身体機能が低下すること)などに有効であろうと思われます。

一方、カルシウムの供給源と考えると、乳製品を夕方に摂取することは、効果的と考えられており、特に高齢者の骨粗鬆症の予防に役立つ可能性があります。マウスを用いたカルシウム吸収実験では、夕方の方が効果的で、さらに難消化性デキストリンやイヌリンなどの水溶性食物繊維を一緒に摂ると、より効果的であることがわかっています。

また、牛乳や卵では、ビタミンDが強化された製品もあり、ビタミンDがカルシウムの吸収を促進させることを考えれば、これも理にかなっています。ただし、牛乳や乳製品は乳脂肪が多く含まれているので、肥満予防を考慮するのであれば、脱脂系の製品が望ましいと思います。

また、卵では、DHAとEPAが強化された卵も市場にあることから、先のDHAとEPAの時間栄養学の成果を踏まえれば、この卵は朝食に向いているのかもしれません。朝ごはんの定番、納豆は夕食でもさまざまな効果があります。納豆は朝の定番食品ですが、本当にそのとらえ方でいいのでしょうか。夕方の納豆摂取は時間栄養学的な意味はないのか。

納豆はいうまでもなく大豆製品であり、豊富で良質なタンパク質を含んでいます。したがって朝のタンパク質不足を改善できそうですし、サルコペニア予防にも良いでしょう。また、大豆には難消化性のタンパク質も含まれており、難消化性タンパク質は腸内細菌の餌になり、有用な働きを行うことがわかっています。

朝食の「セカンドミール効果」(朝食で摂ったものの効果が昼食や夕食時にも続くこと)を期待する意味においても、またおそらく便通にも良い効果を期待するのであれば、朝がおすすめでしょう。

一方、夕食での摂取ではどうでしょうか。納豆にはビタミンKが豊富に含まれています。ビタミンKは骨の合成系に必要なビタミンですが、骨の合成は夜に起こりやすく、夕方摂ることに意味があります。

また、納豆にはナットウキナーゼが含まれており、血栓予防に効果的です。血液凝固系の働きは朝に強くなると考えられており、朝にナットウキナーゼの効果を出すためには、夜に納豆を摂っておくと良いという可能性が考えられています。

ところでナットウキナーゼは酵素なので熱に弱く、実はご飯にかけずに食べたり、納豆サラダとして食したりするとより予防効果があるかもしれないのです。ただ一方で、納豆のビタミンKは、抗凝固剤であるワーファリンの作用と拮抗するものになります。 ワーファリン服用時は納豆を摂ることに注意が必要になります。

また、納豆をご飯と一緒に摂ると血糖値の上昇が緩やかになる可能性があります。粘り成分はデンプンの分解を緩やかにするのです。また、食事摂取の順序効果があります。血糖値を急激に上げないため、食物繊維を含むサラダなどやタンパク質、脂質を含む食品を先に食べ、その後、白米、パン、麺類などの炭水化物を含む食品を食べるとよいといいます。

順番を重視した食事法の効果でも知られているように、タンパク質や食物繊維分を一緒に摂るとデンプンの分解が遅延し、血糖上昇を抑制できます。これらのことから、納豆は、タンパク質源として朝摂ることはいいのです。

だが、骨を強くし、血栓を予防する、夜の血糖値の上昇を抑える、というような観点からでは、夕ごはん時に摂る方がより効果的なのではないでしょうか。ちなみにゴボウや菊芋に豊富に含まれるイヌリンは、食事による高血糖予防、便通、腸内細菌のいずれにおいても、夕方に摂るより、朝摂る方が効果的という研究結果がでています。

骨粗鬆症の要因 仲條拓躬

2025/05/09 (Fri) 16:21:20


年齢を重ねると、転倒の事故が多いです。丈夫な骨を常日頃から作っておくことが大切です。骨粗鬆症予備軍は、約1000万人とも言われており、女性に多いといわれています。最近では子供達にまで広がってきています。

高齢者の腰痛、背痛の原因ともなり、寝たきりになる原因として、脳卒中、老化によるものがありますが骨折も上位に位置しています。若者層の女性に過度なダイエットでカルシウムの吸収がスムーズに行われなくなり骨粗鬆症に陥り骨折しやすくなるようです。

最近の子供達は、外で遊ぶことが少なくなって家に引きこもり運動不足となって日光に当たる機会も少なくカルシウムの吸収を高めてくれるビタミンDの取り込みが悪くなってきます。

そして加工食品が体内のカルシウムとのバランス、ミネラルの吸収を阻害するので吸収を悪くしています。食品は、ロースハム、ポテトチップが特に阻害します。骨は常に生まれ変わり、三年で再生されるともいわれます。

健康な骨を作るためにはやはり栄養のバランスが取れていることです。コラーゲンが水分、カルシウムを包み込んで丈夫で健康な骨や軟骨を形成しています。この骨粗しょう症のリスクを高める要因の一つとして、コーヒーの摂取 が挙げられます。

コーヒーに含まれるカフェインは、血中ビタミンD濃度を下げるということが報告されています。ビタミンDは、カルシウムの吸収を助ける働きがあり、骨の健康に欠かせない栄養素です。ビタミンDが不足すると、骨粗しょう症になりやすくなり、大腿骨頚部骨折のリスクが高まりますが、顔の骨にも影響が出て、顔のたるみにつながってしまうのです。

若者に多い子宮がん 仲條拓躬

2025/05/09 (Fri) 16:19:33


若い女性で最も多い癌が、子宮癌です。女性の全年齢を通じてみると胃癌や大腸癌、乳癌の方が多いものの、癌の統計によると、20、30代の罹患率は子宮癌が上回っています。その子宮癌の8割が、子宮の入り口(頸部)にできる子宮頸癌が占めているそうで、性交時に感染する可能性があるヒトパピローマウイルスなどが原因とされています。

エイズ感染者も先進国内では増加率が高いのは性交時に予防をしない若者が多いことを物語っているのですが、エイズ予防のみならず、子宮頸癌の感染についても知識を持っていただいて予防に心がけていただきたいと思います。

性交は女性が被害をこうむる事が多いのです。早く見つけて手術をすれば5年生存率は9割を超えるそうですが、将来子供が欲しいと思っている人にとっては、子宮全摘は避けたいでしょう。

ごく初期だと、レーザーや高周波など、癌を削りとって子宮を温存する方法がありますが、子宮頸部の外に癌が広がっている場合は難しくなり、膀胱や直腸に分布した神経を切断する場合があり、排便・排尿障害が起きることがあるのです。膣も短くなり、性交にも支障をきたします。

若い女性で最も多い癌が、子宮癌で原因は不特定多数の方の性交渉が問題です。性交においては男性よりも女性のほうが病気になる危険は高いことを女性だけでなく男性もしっかりと認識して予防に努めましょう。


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