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夕食の血糖値には要注意 仲條拓躬

2025/05/14 (Wed) 15:21:14


夕食時に血糖値が高くなるのは、夕食の量が他の時間の食事よりどうしても多めになりがちなことで理解できます。では、まったく同じ食事を朝、昼、夕食で食べた場合はどうでしょうか。実際、ヒトで実験してみると、朝食・昼食・夕食のようになり、まったく同一の食事でも朝より夕の食事後の方の血糖値が高くなります。

これはまさに体内時計の影響なのです。時間栄養的には、時間によって血糖値を下げる働きのあるインスリンの効き方が異なってくるという結果だといいます。朝の食事時にはインスリンの分泌が良く、またインスリンの働きも強いので、あっという間に血液中から糖が組織中に移行します。

考えてみると、朝食は10~12時間程度絶食した後に食べますが、昼食や夕食は5~6時間程度の絶食後に食べています。その絶食時間が血糖値の変化にかかわっている可能性も考えられています。そこで、夕食から10時間空けて食べたときと、朝食から昼食を摂らずに10時間後に夕食を食べた場合の血糖値を比較した実験があります。

その結果、絶食時間は同じ10時間にもかかわらず、前者の場合の朝食時より後者の場合の夕食時の方の血糖値が高いという結果が出たのです。仮説的には、絶食時間が同じだから差がないだろう、あるいは、夕食まで食べていないので体がブドウ糖を求める力が強く、食事をしたら速やかに組織に移行し、血糖値は上がりにくいと思っていたのです。

ところが予想とは違う結果となり、その原因を考察しています。それは体内時計が朝と夕のエネルギー代謝をきちんとコントロールしていることに起因していると考えられました。また、別のヒトの研究で、夕食の食事時間を2~3時間遅らせると、血糖値の増大が大きくなることも知られています。遅い夕食は高血糖の危険性を考えると避けたい食行動です。

高カテキン茶 (高濃度でカテキンが含まれるお茶)が高血糖予防に効果があると考えられ、肥満や糖尿病の予防としてもカテキン茶が推奨されています。そこで、朝食時と夕食時のいずれが効果的なのかを調べてみました。

先にも述べたように、同じものを食べても朝や昼より夕食時に摂る方の血糖値が上がりやすいことが知られています。また、飲食をすると血糖値は上がりますが、その上がり方の緩急などにより、身体に及ぼす影響に違いが出ることも知られてきています。

そのなかでも、短時間に急激に血糖値が上がり、また正常値に戻ることを血糖値スパイクといい、これが頻繁に起こると血管系に影響し、動脈硬化など健康を害する原因になりえるといいます。

そういったことから、夕食時の血糖値スパイクを抑えるためには、高カテキン茶は夕食時に摂る方が良いと予想されます。次に、カテキンを継続的に1週間飲んだときに、血糖を抑制する作用が増強したり逆に減弱したりする可能性を調べた実験があります。その結果、カテキンによる夕食時の血糖抑制効果は持続的で、強弱の変化はありませんでした。

さらに、似た現象がマウスで起こるか否かを調べた実験もあります。夕食時にカテキンを1週間投与し、その後、ブドウ糖を朝もしくは夕に投与しています。その結果、夕食時にブドウ糖を与えた群で、カテキンを夕方に飲んでいたマウスは、カテキンを飲んでいないマウスに比べて、血糖値の上昇が抑えられています。

一方、朝食時にブドウ糖を与えると、夕方にカテキンを投与した群、カテキンを含まない液体を与えた対照群のいずれも、それぞれ夕食時にブドウ糖を与えた結果と似た値を示しています。すなわち、夕食時にカテキンを飲む習慣自体が、食による高血糖を抑制しうるという発見となりました。

恐らく、朝は血糖値が上がりにくいので、前の晩の夕食時にお茶を飲んでも飲まなくてもあまり関係がなく、夕食時の血糖が上がりやすいときにカテキンを摂ることは効果的な影響を与えるというように解釈しています。ヒトと類似した結果が得られ、やはり夕食時の方が効果的であったというわけです。

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